【6月23日 AFP】映画『タイタニック(Titanic)』の監督で深海探検家としても著名なジェームズ・キャメロン(James Cameron)氏が、大西洋でタイタニック号(RMS Titanic)の残骸見学ツアー中に圧壊し、5人が死亡した潜水艇について、安全性に関する多くの警告が無視されたと語った。

 キャメロン氏は、狭い海洋探検コミュニティーの中で事故を起こした潜水艇への懸念が広がっていたとして、約1500人が死亡した1912年のタイタニック号沈没事故との類似性を指摘した。

「タイタニック号沈没事故との類似性に衝撃を受けている。タイタニック号の場合、前方に氷山があるという警告を船長が何度も受けていたにもかかわらず、月のない夜に全速力で氷原に突入し、多くの人が死亡した」

「警告が無視された結果、非常によく似た悲劇がまったく同じ場所で起きた。潜水は世界中で行われているのに、これは驚くべきことだ。誠に超現実的だ」

 キャメロン氏は2012年、自ら設計・製作した潜水艇で、世界で最も深い南太平洋マリアナ海溝の最深部への単独潜航に成功した。

 その際、「何よりも」念頭に置いていたのは、潜水艇が水圧で破裂するリスクだった。深海探査業界に携わる全員が同じ考えを持っているため、ここ数十年の深海探査は高い安全性を保ってきたという。

 そうした中、「深海探査分野の関係者の多くは、この潜水艇について大きな懸念を抱いていた」という。「深海潜水艇の第一線のエンジニアたちが、客を乗せるのは実験的すぎる、安全性を証明する必要があると運営会社に書簡で訴えていたほどだ」 (c)AFP