【6月23日 AFP】フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア)のドーピング違反が不問となった件で、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は22日、異議申し立ての審理が9月26日から29日に行われると発表した。上訴審はスイス・ローザンヌ(Lausanne)のCAS本部において、非公開で行われるという。

 CASはこの日、世界反ドーピング機関(WADA)と国際スケート連盟(ISU)に加え、ワリエワを不問に付す判断を下したロシア反ドーピング機関(RUSADA)自身から裁定内容への異議申し立てを受けていたと明らかにした。

 WADAとISUはともに、裁定の撤回とワリエワに対する日にちをさかのぼっての資格停止処分を科すことなどを求めている。

 2022年2月に開催された北京冬季五輪で、当時15歳だったワリエワはロシア五輪委員会(ROC)のメンバーとしてフィギュアスケート団体に出場し、女子選手として初めて五輪で4回転ジャンプに成功するなどしてチームの金メダルに貢献した。

 しかし、2021年12月25日に行われたロシア選手権(Rostelecom Russian Nationals 2021)で採取された尿検体がトリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示していたことが後日発覚。トリメタジジンは狭心症の治療薬だが、持久力を高める効果があることから禁止薬物に指定されている。

 国際オリンピック委員会(IOC)が北京五輪での競技続行を認めたことにより、ワリエワは引き続き女子シングルに出場したが、思うような演技ができずに氷上で泣き崩れた姿は大会最大の話題となった。

 ワリエワをめぐる問題の調査が終了するまでIOCが団体のメダル授与を保留している中、RUSADAの規律委員会は昨年12月14日、ドーピング違反に関してワリエワに「過失なし」との判断を下し、処分は科さずにロシア選手権の結果を取り消すにとどめていた。(c)AFP