【6月21日 AFP】過酷な受験戦争で知られる韓国の教育省は20日、日本の大学入学共通テストに当たる大学修学能力試験(修能)から「超難解問題」を排除する方針を明らかにした。学習塾などの学校外教育への依存を減らすのが狙い。

 9時間に及ぶ修能は、大学だけでなくキャリアや結婚などの未来をも左右する重要な試験で、毎年50万人以上が受験している。

 超難問は、公立学校の教育課程の学習内容だけでは正答できないため、優秀な受験生を容易に判別するために出題されてきた。一方で、教育費負担の増大や受験戦争の激化も招き、受験生は試験を少しでも有利にしようと高額な学習塾に殺到した。

 李周浩(イ・ジュホ、Lee Ju-ho)社会副首相兼教育相は19日、「公立学校の教育課程外の問題を排除して修能を公正な試験にするため、教育相として手を尽くす」と述べた。

 さらに、超難問が学校外教育業界の爆発的成長の「原動力」になってきたと指摘し、対策を取らずにいた当局者に「自省」を促した。

 教育省は20日、AFPの取材に対し、李氏の発言を「支持」し、教育改革を進めていくと述べた。

 これまでも模擬試験から超難問を排除する試みなどの改革が行われてきたが、すべて失敗に終わっている。

 韓国統計庁(Statistics Korea)によると、2022年の小中高生の私教育費は、月額で1人当たり41万ウォン(約4万5000円)だった。

 韓国は世界でも10代の若者の自殺率が特に高いが、激しい受験戦争の大きな重圧も一因とされる。(c)AFP