【6月21日 AFP】ペルー南部のクスコ(Cusco)でこのほど、インカ(Inca)帝国時代の約600年前に造られた世界最後の綱のつり橋とされるケスワチャカ(Q'eswachaka)橋の架け替えが、先住民によって行われた。

 毎年6月になると、先住民ケチュア(Quechua)の人々が集まり、アンデス山脈(Andes)産のわらの一種を用いて太い綱を作り、橋の損耗した部分を架け替えていく。

 橋は、アプリマク川(Apurimac River)の水面から28メートル上に架けられているが、先住民は命綱も使わず、ひるむ様子も見せずに作業に臨んだ。

 橋の全長は約30メートル、幅は約1.2メートルで、綱を作るのに数週間、架け替えに3日かかる。

 綱作りの参加者(54)は「架け替えなければ(神から)罰が下る。事故などに遭うかもしれない」と話した。

 橋は2013年、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。マチュピチュ(Machu Picchu)遺跡のあるクスコの観光名所でもあり、収入源にもなっている。

 架け替えに携わった参加者(40)は、「この橋が無くなったら、伝統も収入もなくなる」と語った。(c)AFP