【6月20日 AFP】スウェーデン軍は19日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、自国が武力攻撃を受ける可能性は排除できないとする報告書を公表し、北大西洋条約機構(NATO)への一刻も早い加盟が重要だと訴えた。

 超党派の議員・専門家による委員会が作成した同報告書は、想定される攻撃主体としてロシアを名指しこそしなかったが、ロシアのウクライナ侵攻およびアジアと世界における中国の影響力拡大を挙げ、「スウェーデンに対する武力攻撃の可能性は排除できない」としている。

 同委員会は、スウェーデンの安全保障を確保する最上策はNATO加盟だと指摘。「ロシアがウクライナに侵攻し、中国が領有権主張を強める今、領土紛争での軍事力行使が再び現実味を帯びてきた」とし、スウェーデンの安全保障政策は歴史的な転換期を迎えていると主張した。

 委員会の一員であるペーテル・フルトクビスト(Peter Hultqvist)前国防相は会見で、スウェーデンは軍備を大幅に増強してきたが、まだ不十分だと指摘。2025年から2030年までに「軍備拡張」を図り、徴収兵の数を現在の年間5000~6000人から、少なくとも1万人に増やす必要があると述べた。

 スウェーデンは2022年5月、NATOに加盟申請し、200年に及ぶ軍事的非同盟の方針を転換。翌6月からはNATOの「招請国」となっている。しかし、ハンガリーとトルコの反対により、加盟は実現していない。(c)AFP