【6月17日 AFP】ウルグアイのルイス・ラカジェポー(Luis Lacalle Pou)大統領は16日、第2次世界大戦(World War II)初期の海戦中に沈没したナチス・ドイツ(Nazi)の戦艦に設置されていたワシのブロンズ像について、溶かして平和の象徴のハトに鋳造し直す計画を発表した。ブロンズ像は同国沖で17年前に引き揚げられた。

 ラカジェポー氏は首都モンテビデオで記者会見し、「暴力と戦争の象徴」を「平和と統合の象徴」に変えると述べた。平和のハトの制作者には、ウルグアイ人アーティストのパブロ・アチュガリー(Pablo Atchugarry)氏が選ばれ、11月までに完成予定だという。

 ブロンズ像は高さ2メートル、重さ350キロ。ワシが翼を広げ、ナチスのかぎ十字をかぎ爪でつかんだデザインで、ナチス・ドイツ海軍最大級の戦艦「アドミラル・グラーフシュペー(Admiral Graf Spee)」号の艦尾に設置されていた。

 同艦はラプラタ沖海戦(Battle of the River Plate)後の1939年12月17日、ハンス・ラングスドルフ(Hans Langsdorff)艦長の命令で自沈した。

 引き揚げチームは10年にわたる捜索の末、2006年に首都モンテビデオの沖合でワシのブロンズ像を発見。ウルグアイ海軍と2004年にブロンズ像の売却代金を折半する旨の合意を結んでいたが、政府側が合意を破ったとして提訴。裁判所は2019年、ブロンズ像を売却して代金を政府と引き揚げチームで折半しなければならないとの判断を下した。

 だが、最高裁は昨年、ワシの像を国有財産と判断した。(c)AFP