【6月13日 AFP】南米コロンビアのアマゾン(Amazon)の密林で小型飛行機の墜落事故後40日ぶりに先住民のきょうだい4人が無事に発見され、ジャングルで生き延びるための知恵と並外れた勇気が称賛を浴びている。

 先月1日に小型機が墜落した後、約200人の兵士と先住民による大規模な捜索活動が続けられた。今月9日になってレスリーさん(13)、ソレイニーちゃん(9)、ティエン・ノリエルちゃん(5)、クリスティンちゃん(1)の4人は無事発見された。同乗していた母親は事故後に死亡。パイロットと先住民指導者の遺体も見つかっていた。

 捜索を指揮したペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)将軍は、子どもたちが生き延びられたのは「奇跡」だと語った。奇跡はなぜ起きたのか。 次のような理由が考えられる。

■食料と水

 4人は事故後、数日間は現場付近にとどまっていた。機体の残骸の中から見つけたキャッサバ粉(タピオカ粉)などを食べた。残り少なくなってくると、野生動物や武装ゲリラが潜むジャングルからの脱出を決意した。

 サンチェス将軍によると、4人は「チョンタドゥーロ(ヤシの実)や野生のマンゴーといった果実」を食べていた。

 捜索に加わったコロンビア先住民全国組織のルイス・アコスタ(Luis Acosta)氏によれば、先住民ウイトト(Huitoto)出身の4人はアマゾン育ちで、食用可能な植物の種や根などを見分けることができた。

 しかし、発見当初は全員、さすがに衰弱しており、ティエン・ノリエルちゃんは歩くことさえできなかった。

 捜索に加わった先住民のエンリ・ゲレロ(Henry Guerrero)氏によると、レスリーさんは墜落現場から炭酸飲料のボトルを持ち出していた。常に川沿いを歩き、飲み水には困らなかった。

 軍は食料や水を投下したが、4人の手に届いたかは分かっていない。

■道具

 ゲレロ氏によれば、レスリーさんはボトルだけでなく、防水シートやタオル、懐中電灯、衣類などをスーツケースに詰めて持ち出した。それを利用して簡易シェルターを作り、何度か移動させていた。寝る時は地面にタオルを敷いた。

 携帯電話も2台持っていたが、電波は届かず、助けを求めることはできなかった。ゲレロ氏は「夜間に気を紛らわすため」に使っていたと話した。それもやがて充電切れとなった。

 レスリーさんは、おもちゃのオルゴールまでスーツケースに入れていた。

■勇気とサバイバル知識

 コロンビア国防省はレスリーさんについて、「他の3人が生き延びられたのは、彼女の勇気とリーダーシップのおかげだ。きょうだいの面倒を見てくれた。ジャングルについての知識があった」とたたえた。

 ゲレロ氏は、持ち出した物を見れば、レスリーさんが「非常に聡明(そうめい)」なことが分かると述べた。

 ウイトトの人々はジャングルと共生していることで知られ、子どもの頃から狩猟採集技術を学んでいる。

 アコスタ氏は、年長の子どもたちはジャングルのことを「熟知している」と指摘。「食べられるもの、食べられないものを知っている。4人が生き延びられたのは、そうした知恵と精神的な強さを持ち合わせていたからだ」と話した。(c)AFP