【6月12日 AFP】4人きょうだいの母親は事故後、4日間生きていた──。南米コロンビアのアマゾン(Amazon)の密林に小型飛行機が墜落した事故について、4人の父親が11日、語った。

 きょうだい4人は先住民で、1~13歳。先月1日に小型機が墜落した現場では、同乗していた母親とパイロット、先住民指導者の遺体が見つかっていた。

 父親のマヌエル・ミジェル・ラノケ(Manuel Miller Ranoque)さんはこの日、記者団に対し、長女のレスリーさん(13)は「母は4日間生きていた」と話していると明かした。

 母親のマグダレナ・ムクトゥイ(Magdalena Mucutuy)さんも先住民の指導者の一人だった。

 けががもとで亡くなる前、4人に対し、「みんな、ここから抜け出しなさい。お父さんに会いに行きなさい。お母さんと同じように大きな愛を示してくれるでしょう」と語り掛けたという。

 コロンビア先住民族全国組織のルイス・アコスタ(Luis Acosta)氏はAFPに、「子どもたちはアマゾン育ちで、食べられそうな種や果実、植物、根を食べていた」と語った。

 グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領と共に入院中の子どもたちを見舞ったイバン・ベラスケス(Ivan Velasquez)国防相によれば、4人は回復しているが、固形物はまだ食べられない状態。

 レスリーさんが、試練を乗り越えられるよう他のきょうだいを導いたもようだ。下の2人は密林の中で誕生日を迎え、5歳と1歳になった。

 国防相は「他の3人が生き延びられたのは、彼女(レスリーさん)の勇気とリーダーシップのおかげだ。きょうだいの面倒を見てくれた。ジャングルについての知識があった」とたたえた。

 11日には、4人が発見され、救助隊と対面した際の様子を携帯電話で撮影した動画もテレビ放送された。密林の中をさまよっていたため、痩せ細っている様子が分かる。

「レスリーが小さな子を抱いて走って来て『おなかがすいた』と言った」。救助隊の1人は公共放送RTVCのインタビューに応じ、4人を発見した瞬間についてこう振り返った。「男の子2人は横たわっていたが、1人が起き上がって『お母さんは死んだ』と話した」

「私たちは君たちの仲間だ。家族やお父さん、おじさんに送られて来た。私たちは家族だよ」と声を掛けたところ、少年は「パンとソーセージが食べたい」と返事をしたという。

 映像序盤と終盤は見つかった子どもたち、コロンビア空軍が10日撮影・提供。中盤は父親のインタビュー、11日撮影。(c)AFP/Lina VANEGAS