【6月14日 AFP】世界一のレストランに何度も選ばれながら、2011年に閉店したスペインの「エル・ブジ(elBulli)」が、料理界に革命を起こした功績を伝える博物館として、15日に再オープンする。

 地中海に面するスペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州、ロザス(Roses)の入り江を見下ろす博物館は、独創的なシェフ、フェラン・アドリア(Ferran Adria)氏(61)が考案したという1846種類の料理にちなみ、「エル・ブジ1846(elBulli1846)」と名付けられた。

「今度は食事のためではなく、エル・ブジで何が起きていたのかを知るために来てほしい」と、20年以上にわたって腕を振るっていたアドリア氏はAFPに語った。

 博物館では、写真やノート、トロフィー、革新的な料理を再現したサンプルなど数百点の品々が展示される。

 アドリア氏は、食材を科学的に解析し、思いも寄らない方法で再構成する「分子ガストロノミー」と呼ばれる調理手法の流行を生み出した。

 フルーツの泡や凍らせたガスパチョ、ウズラの卵のカラメル包みなど、分子ガストロノミーの代表的な料理は素材と調理法の意外な組み合わせや食感が特徴だ。

 同氏の下、エル・ブジはミシュランガイド(Michelin Guide)の三つ星を獲得し、英国の専門誌「ザ・レストラン(The Restaurant)」で5回も世界一に選ばれた。

「私たちがここで行っていたのは、食という体験においてできることの限界を見つけることだった」とアドリア氏。「人間が持つ物理的、精神的、霊的な限界はどこにあるのか。それを探求することで、他の人々のために道を開拓した」

 エル・ブジでアドリア氏の指導を受けた中には、デンマークの「ノーマ(Noma)」のレネ・レゼピ(Rene Redzepi)氏やイタリアの「オステリア・フランチェスカーナ(Osteria Francescana)」のマッシモ・ボットゥーラ(Massimo Bottura)氏ら世界に名だたるシェフがいる。