【5月25日 AFP】南米ボリビアでこのほど、2009年に死亡した司祭の日記から長年の児童性的虐待が明らかになり、社会に衝撃が広がっている。ボリビア・カトリック教会は24日の声明で、被害者の苦しみに「耳を傾けてこなかった」と認めた。被害に遭った子どもは数十人に上るとみられる。

 問題となっているのは、1971年からボリビア各地でイエズス会(Jesuit)の教師として活動していたスペイン人のアルフォンソ・ペドラハス(Alfonso Pedrajas)司祭。ノートパソコンに保存されていた日記から性的虐待の告白が見つかった。

 日記には「多くの人、あまりにも多くの人を傷つけた」と書かれ、85という数字と疑問符が添えられていた。また、上級聖職者は罪を知りながら沈黙していたとも記されていた。同司祭は2009年にがんで死亡している。

 虐待が疑われる行為の大半は、中部コチャバンバ(Cochabamba)で貧しい農村部の子どものために設立された寄宿学校で起こったとされる。

 司祭の遺族の一人がスペイン紙パイス(El Pais)に日記を渡し、同紙が先月、暴露記事を掲載したことで公になった。

 これを受けてボリビアの検察当局は少なくとも8件の被害について、ペドラハス司祭を含むスペイン人司祭4人に対する捜査を開始した。4人は全員故人だが、疑いが持たれている存命中の人物が他にも複数いる。

 ボリビア司祭協議会のジオバニ・アラナ(Giovani Arana)事務局長は声明で、「被害者に適切な保護と配慮を与えるどころか、教会は彼らの苦しみに耳を貸さなかった」「罪なき人々を深く傷つけた性的加害に、われわれは直接的、間接的に加担してきた」と述べた。

 ルイス・アルセ(Luis Arce)大統領は22日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)に書簡を送り、国内でカトリック司祭が犯した性的虐待に関する全記録の開示を要請した。(c)AFP