■境界を拡大するサリー

 サリーには長い歴史があるにもかかわらず、メット・ガラに登場したのは昨年が初めてだった。

 インド人実業家で社交界の名士、ナターシャ・プーナワラ(Natasha Poonawalla)氏が、同国のブランド「サビヤサチ(Sabyasachi)」の流れるような金色のサリーと、イタリア出身のデザイナーが手掛ける「スキャパレリ(Schiaparelli)」の金色のビスチェを合わせた。

 デザイン・ミュージアムでは、サリーの豪華さと創造性を示すだけではなく、アイデンティティーや不服従を表現する手段として着用された例も採り上げている。

 インドで、性的虐待や農村部での児童婚など、ドメスティックバイオレンス(DV)と闘う目的で設立された団体「グラービー・ギャング(Gulabi Gang、ピンクのギャングの意)」の活動を象徴する明るいピンク色のサリーも展示されている。メンバーの多くは、竹の棒を手に、このサリーを着用している。

 この他、印ファッションブランド「パパ・ドント・プリーチ(Papa Don't Preach)」のスパンコールやクリスタルの刺しゅうが施された紫のシルク製サリーも展示されている。

 同ブランドは、ブランドのメッセージから「婦人服」という言葉を削除するとし、「#DeGenderFashion(ファッションから性差をなくそう)」運動を立ち上げた作家兼コメディアンのアロック(ALOK)さんが、この紫のシルク製サリーを着用している写真を投稿した。(c)AFP/Helen ROWE