【5月20日 AFP】ベルギーの浜辺で、北海(North Sea)からやって来たアザラシがくつろぐ姿を見掛けることが多くなっている。王立自然史博物館(Royal Belgian Institute of Natural Sciences)によると、同国のアザラシの数はここ20年で増加傾向にあるという。動物保護団体はビーチの利用者らに対し、アザラシとの共存を呼び掛けている。

 2020~22年の新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた規制中に、静かで人混みのない浜辺にアザラシたちが姿を見せるようになった。

 人々がビーチに戻って来た今、特にこれから夏を迎えるのを前に、ベルギーの動物保護団体は、海岸で休んでいるたくさんのアザラシたちと人間が共存していくための啓発活動を進めている。

 海岸にいるのは、ハイイロアザラシとゼニガタアザラシの2種。成獣の体重は、ハイイロアザラシで300キロ、ゼニガタアザラシで165キロにもなる。

 ベルギー王立自然史博物館の広報担当で、海洋生物学者でもあるケレ・モロー(Kelle Moreau)氏によると、海岸に姿を見せるアザラシの正確な数を把握するのは難しいが、100~200頭ではないかという。

 アザラシの子どもは、通常は比較的安全な陸上にいて、空腹になると本能的に餌を探しに海へ行く。そのため、人間がアザラシに対して餌を与えないことが重要になるとモロー氏は言う。

「生まれたばかりのアザラシの子どもは、おなかがすくまで浜辺で数日を過ごさねばならない。誰かが餌を与えてしまうと、海へ行かず餌を捕る方法も習得しない」とモロー氏は話した。

 アザラシたちが姿を現す場所には、ボランティアがロープを張って海水浴客が入って来ないようにしている。

 コロナ規制が始まった直後「ノース・シール・チーム(North Seal Team)」は地元当局と協力し、アザラシとの距離を30メートル以上確保するなど、周囲で守るべきルールを設定している。

 映像は8日撮影。(c)AFP/Marie GENRIES