【5月10日 AFP】米国で、夫の死後に死別の悲しみとの向き合い方を題材にした本を出版した女が、夫を殺害していたとして殺人罪で訴追された。現地メディアが8日報じた。

 コウリ・リチンス(Kouri Richins)被告の夫エリック(Eric Richins)さんは昨年3月、夫婦の寝室で亡くなっていた。

 現地テレビ局FOX13によると、リチンス被告は警察に対し、ベッドに入っていた夫に飲み物を用意して持って行き、後に再び寝室に戻ると夫は「冷たくなっていた」と供述していた。

 検視の結果、エリックさんはオピオイド系鎮痛剤「フェンタニル」の過剰摂取で死亡したことが明らかになった。体内からは、致死量の5倍のフェンタニルが検出された。

 警察は、被告が知人に対し、本来は処方箋を必要とする強力な鎮痛剤の入手を依頼していたことを突き止めた。被告は最大30錠のフェンタニルを受け取った上、夫の死の直前にも同剤を追加入手していた。

 FOX13が引用した捜査資料によると、エリックさんは友人に「妻が自分を毒殺しようとしていると思う」と打ち明けていた。

 被告は夫の死からほぼ1年後に「アー・ユー・ウィズ・ミー?(Are You With Me?、原題)」と題する本を出版した。父親を亡くした主人公の子どもが、「守護天使のようにそばにいる父親の存在」に気付く物語だった。

 本の宣伝文には「同じ苦悩に直面した愛情深い母親」が、「幼い心を癒やし慰めるため」に書いた「心温まる、元気付けられる」作品だと記されている。

 夫婦は9年前に結婚し、3人の男児をもうけていた。(c)AFP