【5月8日 CNS】最近、2023年の「中国宇宙の日」のメインイベントで、中国国家航天局と中国科学院は共同で中国の火星探査による火星の全体画像を発表した。これは中国にとって初めての火星探査の成果の発表だ。

 火星は太陽系で最も神秘的な惑星の一つであり、その地形、気候、歴史は科学者や一般の人々にとって常に探究の対象だった。中国が発表した一連のカラー画像は、76メートルの空間分解能を持ち、火星の東・西半球の正射投影画像、ロビンソン投影画像、メルカトル投影画像および正距方位投影画像等だ。

 これらの画像データは、中国の「天問1号(Tianwen-1)」周回機に搭載された中解像度カメラからのものだ。

 画像には、密集する衝突クレーターや狭長な裂谷(れっこく)、極地の白い「氷」の平野など火星の地形が見られる。中国科学院国家天文台研究員であり、初の火星探査任務の副総設計者である李春来(Li Chunlai)さんによると、この画像から、最も基本的かつ代表的な地形と地質学的特徴を備えているオリンポス山についての理解を深められる。その直径は約600キロで、太陽系で最大の火山構造だ。また、火星最大の「傷跡」であるマリネリス峡谷も見ることができる。その長さは4500キロ、最も広い場所で約600キロ、最も深い場所で8キロもある。さらに、火星南半球最大の盆地であるヘラス盆地も見られるという。

 これらの画像は、カメラで撮影された1万4757枚の画像を合成して作成されたものだ。中国惑星探査プロジェクトの総設計者である張栄橋(Zhang Rongqiao)さんは、研究チームは、シームレスな合成だけでなく、画像の色差にも注意を払う必要があったと語った。また、研究チームは、マルチスペクトルカメラを使用してデータを取得し、画像の色調補正を専門的に行ったという。

 張栄橋さんは、火星全体のカラー画像の公開は重要な意義を持っている。「中国のみならず、世界中の同業者が火星探査事業や火星科学研究を行うためのより高品質な基礎となる画像を提供した」と述べた。

 特筆すべきは、中国の研究チームは、火星の高分解能画像に基づき、多数の火星の地理的実体を解明した。国際天文学連合(IAU)は、関連する規則に基づき、うち22の場所を、中国の人口10万人未満の歴史文化の名村や名町にちなんで名付けた。

 また、早くも2021年には中国政府が、月次で研究チームにこれらのデータ製品の提供を開始したことが分かった。科学データの研究により、研究チームは独創的な科学的成果を得て、イギリスの科学誌「ネイチャー(Nature)」や中国の英文総合科学誌「ナショナル・サイエンス・レビュー(National Science Review)」などの国内外の権威ある学術誌に発表した。(c)CNS/JCM/AFPBB News