【5月6日 AFP】香港警察は5日、1989年の天安門(Tiananmen)事件の犠牲者を追悼するために作られ、その後、解体されて香港大学(HKU)に保管されていた像を「国家転覆扇動罪」の「証拠」として国家安全維持公署が押収したと発表した。

 高さ8メートルの像「国恥の柱(Pillar of Shame)」は、デンマーク人彫刻家イェンス・ガルシュット(Jens Galschiot)氏が手掛けたもの。拷問され苦悶(くもん)の表情を浮かべる50人の体が積み重ねられたデザインで、香港大学のキャンパスに20年以上設置されていたが、2021年に解体され、元朗(Yuen Long)区の大学敷地内にある貨物コンテナに保管されていた。

 中国政府が2020年に施行した香港国家安全維持法では、「国家転覆」の最高刑は終身刑とされている。

 香港大学は、5日朝に警察が令状を提示し、元朗区の敷地から「証拠」として像を持ち去ったと認めた。

 ガルシュット氏はAFPに対し、自身の作品が押収されて驚いたと語った。大学側からも警察からも連絡はないという。

 同氏は「あの像を民主化運動の証拠にはできない。私が所有者であり、香港に設置したのも私の発案だからだ」と話した。

 昨年、香港からの持ち出しを試みたが、当局からの報復を恐れる運送会社に協力を拒まれたという。

 同氏は、像の所有権を主張するために法的措置を検討している。(c)AFP