【5月3日 AFP】世界の児童婚の件数は減少傾向にあるが、根絶できるのは300年後との見通しが、2日公表の国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の報告書で示された。逆に、新型コロナウイルス感染症などの危機が重なれば、増加に転じる可能性もあると警鐘を鳴らしている。

 ユニセフは児童婚について、男女問わず、18歳未満での結婚を指すと定義している。報告書によると、そうした女性は現在、6億4000万人に上る。これは、毎年1200万人が児童婚の対象になっていることを意味する。

 過去25年間に関しては、児童婚は減少傾向をたどってきた。20~24歳の女性のうち18歳未満での結婚の割合は1997年に25%だったのが、2012年は23%、22年には19%にまで低下した。

 それでも、30年時点でなお約900万人が児童婚を経験する計算になる。

 報告書の筆頭著者であるクローディア・カッパ(Claudia Cappa)氏は、「現在のペースでは、児童婚根絶には300年待たなければならないだろう」としている。児童婚の対象となるのは12~17歳の少女が大半だという。

 報告書は、新型コロナや国際紛争、気候変動の影響といった要因が重なれば、児童婚の減少傾向が反転する可能性があると警告。新型コロナという単独要因だけで、20~30年に児童婚をする女性は新たに1000万人増えると予測している。

 ユニセフのキャサリン・ラッセル(Catherine Russell)事務局長は、「世界は相次ぐ危機に見舞われており、弱い立場の子ども、特に花嫁になるのではなく学校で学ぶべき少女の希望や夢が砕かれている」と述べた。(c)AFP