【5月3日 AFP】リンダ・トーマスグリーンフィールド(Linda Thomas-Greenfield)米国連(UN)大使は2日、ロシアによる「弱小国いじめ」に対抗しウクライナ支援を強化するようブラジルに求めた。また、同国のルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領がウクライナ紛争について西側諸国にも非があると述べたことについて、改めて懸念を表明した。

 ブラジルを訪問したトーマスグリーンフィールド氏は、マウロ・ビエイラ(Mauro Vieira)外相や大統領夫人と会見したが、ルラ大統領とは会談していない。

 トーマスグリーンフィールド氏はブラジリア大学(University of Brasilia)で国際関係学の学生を前に行った講演で、ウクライナは民主主義を守るために「国を侵略し、領土を奪い、国民を殺し、女性をレイプすることを良しとする弱小国いじめと戦っている」と述べた。

 さらに「次はどの国が、同じような弱小国いじめをできると考えるだろうか」と問い掛け、「世界中の人々の権利のために戦っているウクライナに対し、ロシアを勝利させるわけにはいかない」と強調した。

 1月に大統領に返り咲いたルラ氏は先月訪中した際、ウクライナに数十億ドル相当の武器を供与している米国が「戦争を扇動している」と述べた。

 トーマスグリーンフィールド氏はこの発言について、ビエイラ外相との会談で改めて失望を伝えたと語った。

 一方、国連総会(UN General Assembly)でウクライナ侵攻をめぐりロシアを非難する決議案の採択が行われた際、インドや南アフリカなどが棄権し中立を保ったのに対し、ブラジルが賛成に回った点を評価。ルラ氏が長年の側近で元外相のセルソ・アモリン(Celso Amorim)大統領府首席補佐官をウクライナに派遣する計画を支持すると表明した。

 ブラジルは対ロシア制裁に加わっておらず、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は最近ブラジルを訪問した際、ルラ氏の発言に謝意を示していた。(c)AFP