【4月28日 AFP】スペイン議会は27日、低身長症の人によるコミカルな闘牛ショーを禁止する法案を可決した。障害者団体はこの動きを歓迎したが、これまでショーを演じてきた団体は反発している。

「こびとトレーロ(闘牛士)」を自称するエンターテイナーが消防士に扮(ふん)し、若い牛を殺すことなく追い回すショーは長年、観客を楽しませてきた。演者の数は減っているが、今でも各地の守護聖人の祭りなどで見かける。

 新法は、障害者差別に関する欧州連合(EU)指令に沿ったもので、「障害者およびその境遇が公衆の嘲笑を誘うために用いられるショーや娯楽活動」を禁止している。

 社会権省の諮問機関、スペイン王立障害者協会(Royal Board on Disabilities)は「公共の場で障害者を辱めるショーを禁止したことで人権が一歩前進した」と評した。

 同協会のヘスス・マルティン事務局長は「こうした恥ずべきパフォーマンスを大人に連れられ見に行った多くの子どもに、違いがあることを笑ってもよい、という誤った考えを与えてしまっていた」と述べた。

 一方、自分たちは尊敬され、評価も受けていると感じている「こびとトレーロ」も多く、ショーがなければ生活が危うくなると反発している。

 ある当事者団体は「私たちは闘牛士であり、芸術家だ。禁止事項はこりごりだし、施しは要らない」とフェイスブック(Facebook)にコメントした。また、採決前には議会前で禁止に抗議する「こびとトレーロ」のグループの姿もあった。(c)AFP