■危険な施術

 卵管結紮術を提供する簡易診療所は、特に人口の3分の2が住む広大な農村地域では一般的なものとなっている。

 通常は安全な施術だが、インドではそうと限らない。

 南部テランガナ(Telangana)州では昨年、卵管結紮術を受けた女性のうち4人が死亡、9人が病院に搬送された。

 2014年には、中部チャッティスガル(Chhattisgarh)州の簡易診療所で手術を受けた少なくとも11人が亡くなっている。

 ムットレジャ氏は、政府は人口抑制を推進するならやるべきことがあると指摘する。より多くの男性に不妊手術を受けてもらうためには、啓発活動が必要だと訴えた。

「これは魔法の薬だ。保健教育に投資していれば、家庭や国家の経済的負担を減らせたはずだ」

 一方、地元住民のハルビール・シンさん(64)は、精管切除術は男性が仕事や家族を養うのに必要な「強さ」を奪うものだと今も信じている。

「男は外に出て稼がなくてはならない。女は食事を作って家にいるものだ」「男なしではどうするんだ?」と述べた。(c)AFP/Aishwarya KUMAR