【4月18日 AFP】パキスタン当局は17日、ダム建設プロジェクトの監督に当たっていた中国人技術者が、イスラム教を冒涜(ぼうとく)したとしてパキスタン人作業員らから糾弾されたため、警察の保護下に置かれたと明らかにした。

 イスラム教徒が多数を占める同国では、神への冒涜は極めて微妙な問題で、冒涜的な発言をしたといううわさだけでもリンチや暴力の対象となりかねない。

 当局によると、中国人技術者はカイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa、旧北西辺境)州ダス(Dasu)の水力発電プロジェクトに携わっていた。パキスタン水資源省は2017年、同地でのダム建設を中国葛洲堰集団(CGGC)に発注していた。

 中国人技術者は建設作業員らに対し、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramdan)」期間中のため「仕事がはかどっていない」と指摘したという。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた警官は「作業員らは、断食中でも仕事に遅れは出ていないとし、中国人技術者との間で激しいやり取りがあった」と説明した。作業員らは中国人技術者の発言が冒涜的だと非難。地元住民400人も抗議に集まったという。

 警察に提出された告訴状では、中国人技術者の名前は「ミスター・ティエン」で、重量物輸送の監督者とされる。ダスの警察はAFPに対し、「予防措置のため安全な場所に連れて行った」と述べた。(c)AFP