【4月18日 AFP】スーダンの正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の衝突について、国連(UN)スーダン特使のフォルカー・ペルテス(Volker Perthes)氏は17日の安全保障理事会(Security Council)で、これまでに少なくとも185人が死亡、1800人が負傷したと明らかにした。

 2021年のクーデターで政権を奪取した統治評議会議の議長、アブドルファタハ・ブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)国軍最高司令官と、副議長のムハンマド・ハムダン・ダガロ(Mohamed Hamdan Daglo)RSF司令官との権力闘争がここ数週間で激化。15日に首都ハルツームで衝突が始まった。

 スーダンでは政情不安が続いているが、首都での戦闘は前例がなく、専門家は長期化の恐れがあるとみている。

 一方、欧州連合(EU)の外相に当たるジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は、EUのスーダン大使が17日、ハルツーム市内の自宅で襲撃されたと明らかにした。大使は無事だったが、「外交施設と職員の安全はスーダン当局が最優先すべき責務であり、国際法上の義務だ」と警告した。

 戦闘は国内各地に広がっており、隣国への波及の恐れも懸念されている。

 国連特使のペルテス氏は「状況は非常に流動的で、帰趨(きすう)は予測困難だ」と記者団に語った。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は17日、「敵対行為の速やかな停止」を呼び掛けた。

 世界保健機関(WHO)は、ハルツーム市内の9か所の病院のうち一部ですでに「輸血用血液・器具、点滴製剤など重要物資が不足している」と警告。西部ダルフール(Darfur)地方では、北ダルフール(North Darfur)州で唯一稼働している病院で、緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」が負傷者136人を受け入れたと報告した。大半は銃撃戦に巻き込まれた民間人で、子どもも多いという。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)のマーティン・グリフィス(Martin Griffiths)事務次長は「新たな戦闘はすでに脆弱(ぜいじゃく)な状況を悪化させるだけであり、国連機関や人道支援パートナーはスーダン全土で実施中の250以上のプログラムの多くを一時中止せざるを得なくなっている」と述べた。

 17日には外交的な動きも見られ始めた。隣国エジプトはスーダンの同盟国であるサウジアラビア、南スーダン、ジブチと協議したと発表。またカタール当局はアフリカ連合(AU)のムーサ・ファキ・マハマト(Moussa Mahamat Faki)委員長と協議し、停戦交渉に向け代表団の派遣を検討中だと明らかにした。(c)AFP