■「タイ政府が乗り気ではない表れ」

 タイ政府が2010年にプロジェクトを発表して以降、計画は何度も遅れている。

 軍政を敷くプラユット首相は中国との関係強化を推し進めており、米中両国の間でバランスを取る外交方針を撤回するのではないかとの懸念が広がっていた。

 プラユット氏は最終的に、プロジェクト費用についてはタイ側が全額負担し、技術に関しては中国側のアドバイスを受け入れることを決めた。

 タイと米中との関係についての著作があるベンジャミン・ザワッキ(Benjamin Zawacki)氏は、高速鉄道計画の相次ぐ遅れは、タイ政府が「一帯一路」構想への深入りを警戒していることを示していると指摘する。

「ここまで時間がかかっているのは、タイ政府が高速鉄道計画にそれほど乗り気ではないことの表れだ」

 一方、ラオス国内部分は2021年に開通。首都ビエンチャンと、中国との国境の町ボーテン(Boten)を結ぶ路線だ。費用に関しては中国が7割を負担、ラオス負担分の大半は中国の銀行からの融資で賄われた。

 バンコクのチュラロンコン大学(Chulalongkorn University)経済学部のスティパン・ジラーティワット(Suthiphand Chirathivat)教授は高速鉄道のタイ国内部分について、計画の遅れのおかげで中国ではなくタイのプロジェクトになっていると指摘する。

「これは今や、中国の協力を得て進められているタイのプロジェクトだ。われわれの資金で、わが国の土地で行われている」。教授は、中国は聖書に登場する巨人ゴリアテ、タイはダビデだとし、「ダビデは立ち向かわなければならない」と語った。(c)AFP/Montira Rungjirajittranon and Alexis Hontang