【4月12日 AFP】南米コロンビアのアンデス山脈(Andes)に位置するネバドデルルイス(Nevado del Ruiz)山の火山活動が活発化しており、雪に覆われた火口からは噴煙が立ち上っている。

 3月末以降、火山性微動の観測回数が1日50回から1万2000回に急増。噴火の恐れがあるとして、政府は警戒レベルを引き上げ、麓や山腹に住む約7500人に避難指示を出した。

 だが、麓では大勢の住民が今も農作物を育て、牛や馬などの世話を続けている。

 ポンチョを着たルイス・カノンさん(50)は、噴火は怖いが、宿命だと思って「諦める」以外にないと話した。

 大統領顧問のルイス・フェルナンド・ベラスコ(Luis Fernando Velasco)氏は、「村人は牛や馬、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどを飼っており、家畜が盗まれるのを恐れて避難しようとしない」と説明した。

 このため政府は、「約8万頭の家畜を警戒区域から移動させる例外的措置」を講じる方針を発表した。

 被災の恐れがある地域には5万7000人以上が住んでいる。

 当局が懸念しているのは、1985年の噴火による惨事の繰り返しだ。

 噴出した溶岩で山頂部を覆う雪が解け、大規模な泥流が発生し、麓の町アルメロ(Armero)は数時間でのまれた。天災としては、同国の近代史上最多となる約2万5000人が死亡した。

 一方、警告に耳を傾ける人もいる。

 地元で観光業に携わるセサール・オルテゴンさんは、85年の噴火の際は何とか難を逃れた。再び自分の命を危険にさらすことはしたくないと話す。「(あの時は)生まれ変わったような気分だった」

「誰もがここを離れるわけではないだろうが」と言いながら職場のドアに鍵を掛け、トラックで町を後にした。(c)AFP/Joaquin SARMIENTO in Murillo and Lina VANEGAS in Bogota