【4月12日 AFP】イースター(Easter、復活祭)には世界中の子どもたちが、ベルギーのウサギ形チョコレートを楽しみにしている。しかし、時には中身がチョコではないこともある。

 ベルギー税関は先週、イースターバニー・チョコを模した「エクスタシー」の名で知られる合成麻薬「MDMA」の塊を複数押収した。

 税関職員ポール・ムルネールさん(61)が、ラマン分光法で化学物質を特定する携帯型の機器で白いウサギ形の塊をスキャンすると、画面の色が緑に変わり「注意:MDMA(エクスタシー)」と表示された。

「ほら、純粋なMDMAだ」「ここにいるウサギで1、2キロ分になる。1キロでエクスタシー6000錠を作れる」

 ベルギーのアントワープ(Antwerp)港は、中南米産コカインの欧州への入り口であると同時に、一部は末端価格が欧州より高いオーストラリアなどへも再輸出されている。

 ムルネールさんは税関で43年間働くベテランで、あと数か月で定年退職の予定だ。働き始めた頃はマリフアナを10グラム見つけただけで大騒ぎをしていたとAFPに話した。

 ブリュッセル空港(Brussels Airport)の貨物エリアにあるムルネールさんの職場は現在、麻薬が入っていると疑われる小包や、違法な錠剤や粉が入った袋や瓶が山積みになっている。

 財務省の関税・物品税総局(SPF)の報道官によると、2022年にブリュッセル空港で押収された麻薬は6トン近くに上る。インターネットで数クリックするだけで購入でき、世界中に届けられるという。

 中身がMDMAだったイースターバニーは香港宛てで、発送元はベルギーだった。ブリュッセルの貨物ターミナルで押収された。

 子ども向け人気アニメ「ペッパピッグ(Peppa Pig)」の弁当箱とされていたニュージーランド宛ての荷物は、不自然に重かった。段ボールの中のプラスチック製の仕切りに、乱用が問題となっている麻酔薬「ケタミン」が詰め込まれていたのだった。

 結晶の成長を観察する子ども用の科学実験セットには、シュリンク包装された結晶状の覚せい剤「メタンフェタミン」が入っていた。

 二重になった段ボールの間にプラ袋に入ったコカインもあった。

 郵便で輸出される麻薬のほとんどはベルギーなどの違法工場で製造された合成麻薬で、ベルギー当局によると、特にオランダで作られたものが多い。

 SPFの報道官は、ベルギーの郵便物は「配送先の国でオランダからのものより関税当局者の目を引きにくい」と説明した。(c)AFP/Dave CLARK