【4月10日 AFP】米国や北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ支援に関する機密文書が大量に流出したとされる問題で、米国防総省は9日、国家安全保障に与え得る影響について評価を行っていると発表した。

 この問題については米司法省が調査しているが、ウクライナやロシアだけではなく、米国の同盟国に関する機密性の高い分析に言及した報告書なども含まれているとみられている。

 国防総省はインターネット上に画像が流出している文書の真偽を調査中だが、同省のサブリナ・シン(Sabrina Singh)副報道官は声明で「機密性の高い極秘資料が含まれているようだ」と述べた。「撮影された文書が米国の国家安全保障や同盟国、パートナー国に与える影響を評価することを主眼とした省庁間協力が開始された」という。

 司法省も8日、この問題について国防総省と連携し、調査を開始したと発表した。

 ツイッター(Twitter)、テレグラム(Telegram)、ディスコード(Discord)などではここ数日の間に、流出したとされる文書や画像数十点の投稿が続いており、さらに新たな文書も加わっている。

 複数の米政府関係者は米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に対し、一部の文書は捏造(ねつぞう)と見受けられるものの、多くはホワイトハウス(White House)、国防総省、国務省内の高いレベルで共有されている中央情報局(CIA)の世界情勢分析レポートと内容が一致していると述べた。

 軍事アナリストからは、内部機密に関するいかなる文書でも漏えいした場合はダメージが生じる上、大きな汚点となる可能性があるとの指摘が出ている。

 また米メディアは、米情報機関のロシア軍事組織内への浸透度が示されるという意味で、ロシア政府にとって貴重な情報になるだろうと分析している。

 同盟国の政府内の議論に関する情報が含まれていたとされる例では、ウクライナ支援用の砲弾を米国に提供すべきかどうかをめぐる韓国政府内の議論に関する文書が含まれていたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は報じている。(c)AFP