【3月9日 CNS】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)ウルムチ市(Urumqi)の無形文化財継承者である徐乃政(Xu Naizheng)さんの3代目の弟子、白麗玲(Bai Liling)さんは魔法のはさみを持っている。赤い紙を何度か半分に折って切り抜くと、紙の中に「春」の文字が鮮やかに浮かび上がる。紙の彫刻とも呼ばれる切り絵は、空洞の芸術なのだ。近年、新疆ウイグル自治区の切り絵は、白さんをはじめとする若者の手によって活力を取り戻している。

 白さんの切り絵スタジオに足を踏み入れると、長さ約3メートルの巨大な切り絵作品が目に入る。この作品は、新疆の代表的な建築物である大巴扎(グランドバザール)、ウルムチの紅山、そして舞踊のイメージを合成したものだ。グランドバザールのイメージは生き生きとしており、ダンスの動きは伸びやかで力強く、とても新疆らしい。

 白さんによると、この作品は1年間かけて3世代の師匠と見習いの手で彫られた。切り紙の芸術のために、白さんは仕事を辞め、徐乃政さんに師事した。ほどなくして、細目彫り、点染め、表装などの技法を習得した。白さんはしばしば寝食を忘れて徹夜すると言う。しかし、趣味を仕事にして経済的自由を手に入れることができることは幸せである。

 白さんの作品集を開くと、切り絵作品は肖像画や名所から新疆の舞踊や楽器まで、幅広いテーマを扱っている。彼女は、より多くのより良い切り絵作品を作成するためには、新疆のさまざまな場所に分け入って、大衆の生活と労働からインスピレーションを得る必要があると述べた。

 白さんは切り絵の技術をより多くの人に教えたいと考えている。「子どもたちに技術を教え、無形文化遺産に興味を持ってもらうことが私の望みです」。2012年以来、白さんはウルムチの多くの小中学校、専門学校、コミュニティーで切り絵の先生として雇われ、何千回もの講義を行ってきた。また、30本以上の動画をSNSにアップロードし、切り絵の普及に努めている。(c)CNS/JCM/AFPBB News