【3月8日 AFP】米テキサス州で6日、妊娠中に深刻な合併症のリスクがあるにもかかわらず人工妊娠中絶手術を拒否された女性たちが、州を相手取り裁判を起こした。

 女性たちの代理人を務める「性と生殖に関する権利センター(Center for Reproductive Rights)」は、昨年6月に最高裁が中絶の権利を認めた判決を覆す判断を示して以降、中絶手術を拒否された女性たちがこうした裁判を起こしたのは初だとしている。

 そのうちの一人、アマンダ・ズラブスキーさん(35)は妊娠17週で破水したが、医師に中絶手術を拒否された。感染症になり、片方の卵管を摘出せざるを得なくなった。ようやく中絶手術が施されたのは3日後だった。

 女性たちは妊娠の継続を望んでいたが、診断の結果、胎児に生存の見込みがないのが判明した。訴状では、母体に大量出血や感染症のリスクがあったにもかかわらず、医師に中絶手術を拒まれたと主張している。

「自分の命と、未来の赤ちゃんの命を守るために中絶手術を受ける必要があった」とズラブスキーさんは訴えている。

 テキサス州法では、中絶手術を行った医師には99年以下の禁錮刑が科される可能性がある。

 このため女性の中には、他州に中絶手術を受けに行くことを余儀なくされた人もいる。

 原告の女性たちは、医師が手術を拒むのはこうした法律を含め、さまざまな州法のせいだと非難している。母体の生命が危険にさらされている場合など、医療上の緊急事態が発生した場合には例外が認められるが、現行法では定義が曖昧だとし、例外的な措置の範囲の明確化を求めた。

 カリーヌ・ジャンピエール(Karine Jean-Pierre)大統領報道官は、「不必要な痛み」を強いられた女性たちの詳細について「恥ずべき事で容認し難い」とし、「女性の選択権を奪おうとする共和党の度を超えた政策のせいだ」と批判した。(c)AFP/Suzanne CORDEIRO with Charlotte PLANTIVE in Washington