■世界シェア7割

 2011年に南スーダンが分離・独立し、油田の大半を失って以来、スーダンにとってアラビアガムは主要な外貨獲得源だ。

 スーダン中央銀行の統計では、2021年の輸出量は8万8000トン、輸出額は1億1000万ドル(約146億円)となっている。

 フランスの開発援助機関、フランス開発庁(AFD)によると、世界全体のアラビアガム輸出量に占めるスーダン産の割合は70%に達する。

 30年続いたオマル・バシル(Omar al-Bashir)独裁政権下にあったスーダンに対し、米国は経済制裁を科したが、アラビアガムは対象から除外されていた。

 スーダンの「ゴムノキ・ベルト」は、東部ガダーレフ(Gedaref)州からコルドファン地方を経て、チャドと国境を接するダルフール(Darfur)地方まで約50万平方キロに及ぶ。

 FAOはスーダン森林当局と共同で、12万5000ヘクタールの植林など、生産者とゴムノキ園の保全を支援するための1000万ドル規模のプロジェクトを立ち上げた。

 プロジェクトは、サヘル(Sahel)地域(サハラ砂漠の南縁部)から「アフリカの角(Horn of Africa、アフリカ東端部)」にかけて植林し、砂漠化の拡大を食い止める「緑の長城(Great Green Wall)」構想の一環。

 アラビアガム生産で生活していけると、若者に理解してもらうことが目下の課題だ。

 生産者は高齢化しており、「ほぼ全員」が60歳以上だと、農業組合のラムリ氏は指摘する。農業研究機構のイスマイル氏は「報われない仕事だと思っている若者が多い」と嘆いた。(c)AFP/Menna Zaki