【2月11日 AFP】スペイン映画界の巨匠、カルロス・サウラ(Carlos Saura)氏が10日、死去した。91歳。スペイン映画アカデミーが明らかにした。サウラ氏は、1960年代にフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)の独裁体制を批判する映画で世界的に脚光を浴びた。

 スペイン映画アカデミーはツイッター(Twitter)で「サウラ氏はきょう、自宅で家族に囲まれて91歳で亡くなった」と発表した。「スペイン映画史上最も偉大な映画監督の一人」と評している。

 サウラ氏は1932年1月4日、スペイン北東部ウエスカ(Huesca)生まれ。ルイス・ブニュエル(Luis Bunuel)監督やペドロ・アルモドバル(Pedro Almodovar)監督と並び称されることも多く、半世紀に及ぶキャリアで約50本の映画を監督し、数々の賞を受賞してきた。

 フランコ政権を批判した1966年の『狩り(The Hunt)』ではベルリン国際映画祭(Berlin Film Festival)で監督賞を受賞して世界的に有名になり、多くの批評家から最高傑作と見なされている1975年の『カラスの飼育(Cria Cuervos)』は同年まで続いたフランコ政権の寓話で、翌年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で審査員特別グランプリを受賞した。

 フランコの死去に伴い、独裁体制が終焉(しゅうえん)を迎えると、1980年代には音楽と舞踏をテーマにしたフラメンコ映画3部作『血の婚礼(Blood Wedding)』『カルメン(Carmen)』『恋は魔術師(A Love Bewitched)』を制作した。

 最新作は1週間前に国内で公開されたばかりで、今月11日にセビリア(Seville)で開催されるスペイン版アカデミー賞(Academy Awards)のゴヤ賞(Goya Awards)授賞式で功労賞を授与される予定だった。(c)AFP