ワルシャワ・ゲットー蜂起の新たな写真公開 ポーランド人消防士が撮影
このニュースをシェア
【2月6日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中、ナチス・ドイツ(Nazi)がポーランドに設置したユダヤ人隔離居住区「ワルシャワ・ゲットー」での蜂起の際にポーランド人消防士が撮影した未公開の写真がこのほど、報道陣に公開された。
1943年の蜂起の際の写真だが、実際の戦闘の様子は写っていない。代わりに、建物から立ち上る炎、がれきだらけの無人の通り、ユダヤ人を強制収容所へと導くドイツ兵など、この世の終わりのような光景が捉えられている。
歴史家のヤツェク・レオチャク(Jacek Leociak)氏は会見で「このフィルムは、ユダヤ人を非人間的で無名の犠牲者として捉えている処刑者というドイツ人の視点を超えたものであり、貴重な記録だ」と説明した。
ポーランド・ユダヤ人歴史博物館(POLIN)のキュレーター、ズザンナ・シュネプフコワチェ氏は、「ドイツ人以外の手による、プロパガンダ目的ではないゲットーでの蜂起を捉えた写真としては唯一のものだ」とAFPに語った。
写真を撮影したのは、非ユダヤ人のズビグニエフ・グジバチェウスキ(Zbigniew Grzywaczewski)氏。息子のマチェイ氏(68)が昨年12月、屋根裏で写真のアーカイブが入った箱から1本のフィルムを見つけた。そこには33枚写っていた。
マチェイ氏によると、フィルムがあることは1993年に父親が死んでから長年忘れ去られていた。「父はゲットーで写真を撮ったことを決して話さなかった。口にするのが難しかったのだろう」
ズビグニエフ氏が当時、写真に捉えられている以上の惨劇を目撃したのは明らかだ。
ゲットーにいた人たちの顔は一生忘れないと書き記している。「飢えと失望でよろめく、ひどく不潔でボロボロな姿の人々。一斉射撃で殺された」「まだ生きている人が死体の上に倒れ込む」
ワルシャワ・ゲットー蜂起の際、ナチスは隠れていた住民やレジスタンスをあぶり出すため、建物に火を付けた。消防士だったズビグニエフ氏は、蜂起後に消火のため呼ばれたのだった。
第2次世界大戦中につくられたものとしては最大規模のワルシャワ・ゲットーは1940年、ナチスにより設置された。ユダヤ人約50万人が狭い区画に詰め込まれ、病気や飢えがまん延していた。
ワルシャワの人口の4分の1に当たる生き残ったユダヤ人26万人が、トレブリンカ(Treblinka)強制収容所に移送され、殺害された。
写真はワルシャワ・ゲットー蜂起から80年を迎える今年4月、ワルシャワで一般公開される。(c)AFP/Bernard OSSER