【1月26日 Xinhua News】卯(うさぎ)年の春節(旧正月)を迎えた中国では、ウサギにまつわる文化財が展覧会に展示され、脈々と受け継がれてきたウサギ文化の魅力を人々に伝えている。

 ウサギは中国人にとって瑞獣であり、十二支にも含まれる。体は小さいが後ろ足が発達し、動きは敏捷で飛び跳ねるのも得意だ。中国の先人はウサギから多くの知恵を学び、その愛情からさまざまな縁起の良い寓意を含ませた。

 繁殖力が強くて生存率が高く、成長も早いことから、伝統文化においては多子多福(子どもが多ければ福も多い)や一族繁栄の意味も持った。古人はウサギ型の玉器を生殖力の象徴とし、女性は中秋節に、未婚であれば良き夫、既婚であれば多くの子に恵まれるよう月に祈った。多くの民謡や神話、伝説では「仙兎」として仙女「西王母」に付き添い、また月の宮殿で不老不死の薬を作るとされ、健康と長寿の象徴にもなっていた。

 山西省太原市の山西考古博物館で14日から開催されている「山西出土兎文物展」では銅器や玉器、陶磁器、壁画など多岐にわたる展示が行われている。

 中でも注目すべきは、兎尊(とそん、ウサギ形の青銅尊、尊は水や酒を入れる容器)7点で、全国でも非常に珍しいという。4点は西周~春秋時代の諸侯国、晋国の君主穆侯の墓、3点はその父・献侯の墓から出土した。造形は2種類に分かれ、1種類の開口部はラッパ型、もう1種類は方形で蓋付きだった。

 山西考古研究院の吉琨璋(Ji Kunzhang)研究員は「兎尊は礼器として用いられ、醴酒(れいしゅ)を入れたと思われる。米を蒸して一夜で醸造する甘酒で、酒粕をろ過しない濁酒だった」と説明した。

 晋の献侯と穆侯がなぜ兎尊を愛用したのかは分かっていない。専門家は当時の晋国の強大さや晋侯の視野の広さ、ウサギの持つ縁起の良い寓意、または2人の干支(えと)と関係しているのではないかとの見方を示している。(c)Xinhua News/AFPBB News