【12月31日 AFP】ペルーの憲法裁判所は29日、首都リマで富裕層と貧困層の居住地区を隔てる「恥の壁」が「差別」に当たるとして180日以内の撤去を命じた。

 壁は全長10キロ。高い所は2メートルを超え、上部には有刺鉄線が取り付けられている。2018年に市民の一人が撤去を求めて裁判を起こしていた。

 壁が設置されたのは1980年代。ペルーでテロ組織と見なされている左翼ゲリラ「センデロ・ルミノソ(Shining Path、輝く道)」が富裕層が住むラモリーナ(La Molina)地区に侵入するのを防ぐのが目的とされていた。その後、同組織が衰退したにもかかわらず、2000年代に土地の不法占拠を防ぐ名目で拡張された。

 ペルーでは、1980年代から90年代にかけてアンデス(Andes)地域からリマ郊外の丘陵地帯に大勢が移り住んだ。センデロ・ルミノソの暴力から逃れて住み着いた人も多数いれば、仕事を求めて流れ着いた人もいた。

 グスタボ・グティエレス(Gustavo Gutierrez)判事は現地ラジオRPPで、「ラモリーナ地区と(貧困層が多い)ビジャマリアデルトリウンフォ(Villa Maria del Triunfo)地区を隔てる壁は取り壊さなければならないと全員一致で判断した」と説明。

「これは差別的な壁だ。ペルー国民を社会階層で分断することがあってはならない。容認できず、もはや世界のどこにもない代物だ」と述べた。(c)AFP