【12月24日 AFP】1970年代にアジア各地で殺人を繰り返し、ネパールで20年近く服役していたフランス人のシャルル・ソブラジ(Charles Sobhraj)氏(78)が23日、釈放された。同氏の生涯は、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)と英BBCが共同制作した「ザ・サーペント(The Serpent)」でドラマ化された。

 ネパールの最高裁判所は21日、健康上の理由から、ソブラジ氏の釈放とフランスへの15日以内の送還を命令。カタール・ドーハ経由でパリに向かう航空機内でAFPの取材に応じた同氏は「気分はとても良い。やることはたくさんある。ネパール政府を含め、多くの人を訴えなければならない」と言明。連続殺人犯とされたことはぬれぎぬだと考えているかとの質問に「そうだ」と答えた。

 ソブラジ氏は1970年代、欧州から南アジアに向かう陸路「ヒッピー・トレイル(Hippie Trail)」で、宝石商を装って近づいた人々に薬物を盛り、所持品を奪い殺害。被害者の多くは欧米人のバックパッカーだった。

 同氏は75年、タイの海岸でビキニ姿の遺体が見つかった若い米国人女性をはじめ20人以上の殺害に関与したとされ、「ビキニ・キラー」の異名を持っている。76年にインドで拘束されて計21年間投獄されたが、86年には刑務官に薬を盛って脱獄し、短期間にわたり逃走した末に再び拘束された。

 97年に釈放され、フランスに帰国。パリに住み、報酬と引き換えにジャーナリストのインタビューに応じていたが、2003年にネパールに戻った。同国のカジノでバカラをしているところを記者に目撃されたことがきっかけで、逮捕された。

 翌年、75年に米国人女性観光客を殺害した罪で終身刑を言い渡され、さらに10年後にはこの女性と共に旅行していたカナダ人を殺害した罪でも有罪となった。ソブラジ氏はAFPに対し、この殺人2件についても「私は無実だ」と主張した。(c)AFP/Sagar Ghimire and Atish Patel