【12月22日 AFP】世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は21日、米国が香港からの輸入品に「中国製」との表記を義務付けているのは、国際貿易のルールから逸脱しているとの報告書を発表した。

 問題になったのは、中国が2020年に香港での反体制運動を鎮圧するために導入した治安関係法を受けたドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領の決定。トランプ氏は中国への報復として、香港に対する貿易の優遇措置を撤廃。米通関当局は、香港で製造された商品への「香港製」表記の適用を終了するとしていた。

 これに対し香港側は、WTOの個別メンバーとしての地位を無視した判断で、貿易ルールに違反していると主張していた。

 報告書は、米国の規定は世界貿易のルールにおいて「正当化」できないとした上で、「(米国は)状況が国際関係の緊急事態に当たることを証明できなかった」と指摘した。

 米通商代表部(USTR)の報道官は、「(報告書の)誤った解釈や結論を断固として拒否する」と反発。米国は、自国の安全保障上の利益を脅かす中国の「非常に懸念すべき行動」に対応したものだったと主張し、中国製との表示義務を継続する考えを示した。(c)AFP