【12月15日 AFP】ジェニー・ハバード(Jenny Hubbard)さん(50)は、米国史上最悪の学校銃乱射事件で6歳の娘を失ってからもう10年が経過したことを信じられずにいる。

 2012年12月14日、コネティカット州ニュータウン(Newtown)のサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)で起きた事件では、アダム・ランザ(Adam Lanza)容疑者がブッシュマスター(Bushmaster)製ライフル「AR-15」と拳銃2丁を5分間にわたり乱射し、児童20人と大人6人が死亡。ハバードさんの娘のキャサリン・バイオレット・ハバード(Catherine Violet Hubbard)さんもそのうちの一人だった。

 世界を震撼(しんかん)させたこの事件を受け、米国内の学校は警備体制を強化。銃規制強化を求める声が再び高まったが、規制をめぐる論争は10年たった現在も続いている。

 14日に事件から10年となるのに合わせAFPの取材に応じたハバードさんは「時間があっという間に過ぎ去っていくものだと思い知らされる。私の人生は完全に変わってしまったため、あの日から今まで本当に長い時間がたったように感じると同時に、きのうのことのようにも思える」と吐露した。

 クリスマスを目前に控えた事件当日の朝、ハバードさんはキャサリンさんと8歳の息子を通学バスに乗せた。「冬休みを前に、子どもたちは大はしゃぎしていた。振り返ってみると、あわただしく混乱した朝だったけれど、私たちが一緒に過ごした最高の朝の一つだった」

 ハバードさんは時間をかけてゆっくりと、人の優しさを受け止め、信仰心を持つことで心を癒やすことができた。「最初の一歩はベッドから起き上がることで、それは息子のためだった。息子には自分の人生を生きる権利があるのだから、私は起きなければいけなかった。それから毎日、一歩ずつ進んでいった」

 特につらい気持ちになるのは、毎年最初の登校日や、同じような銃乱射事件が起きたときだという。今年5月、テキサス州ユバルディ(Uvalde)のロブ小学校(Robb Elementary School)で児童19人と教師2人が殺害された事件も、そのうちの一つだった。