【12月14日 AFP】サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)でモロッコを4強に導いたワリド・レグラギ(Walid Regragui)監督は、世界王者フランスとの準決勝を翌日に控えた13日、現代サッカーが重きを置くポゼッションや統計データに懐疑的な見解を示した。

 47歳のレグラギ監督からは誇りや楽観性、反骨心、さらにはユーモアがにじみ出ており、大一番を前に指揮官が決まり文句を形式的かつ抑揚なく語るのとは好対照だった。

 アフリカ勢、アラブ勢として初の4強入りを果たしたレグラギ監督は、現代サッカーがポゼッションを重要視していることや「ゴール期待値」というデータを嘲笑し、スペインやポルトガルを撃破する前にモロッコを見限っていた記者に対して笑みを見せた。

 しかし、その素早い返答や論点に加え、レグラギ監督からは満足した小国に甘んじることを反抗的に拒否する姿勢や、フランスとの準決勝や18日の決勝で勝利できるという明らかに燃えたぎる信念も感じられた。

「W杯で優勝したい」と語ったレグラギ監督は「ただの言葉だけではない。さらに先へと行かねばならないし、次のチャンスはないかもしれない」と続けた。

 レグラギ監督は笑みを浮かべながら「われわれは優勝候補ではないが自信はある。そのことが私を狂わせたり、クレイジーにしたりするのかもしれないが、少々クレイジーなほうが良いかもしれない」と話した。

 準々決勝でポルトガルを撃破した後、チームを「このW杯のロッキー・バルボア(Rocky Balboa、映画『ロッキー〈Rocky〉』シリーズの主人公)だ」と評していたレグラギ監督は、一切遠慮なく発言した。

 相手に長いポゼッションを許す同じスタイルを貫くかと問われると、指揮官はチームのアプローチについて弁解しようともしなかった。

 おそらく、モロッコを相手に77パーセントの支配率を記録しながら枠内シュートを1本しか打てなかったスペインのことを振り返りながら「われわれは自分たちの強みを生かす。このポゼッションという考え方、サッカージャーナリストが60から70パーセントの支配率という数字を愛しているのは驚きだが、枠内シュートが2本だけなら意味がない」と述べた。

「ゴール期待値も同じだ。『(モロッコが)勝利すべきだったが、ゴール期待値は4パーセントだった』か…。いずれにせよ、われわれは勝つためにここにいる。それだけだ」

「もしフランスがボールを渡してくれるならわれわれはボールを保持するが、彼らはそうしないと思う。だから、彼らを止めようとしなければならない」

 多くの選手で守り、高速カウンターを仕掛けるというモロッコが採用する確立された戦術は現時点では流行しておらず、確かに統計データが主流となっているが、レグラギ監督は数字に注目するのに時間をかけない。

「統計データはやめにしよう。60パーセント以上のポゼッションを記録すれば勝ち点を増やすよう、(国際サッカー連盟〈FIFA〉会長の)ジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)にお願いしておこう」 (c)AFP/Simon EVANS