【12月8日 CNS】中国の高齢者の間でカラオケが静かなブームになっている。かつてカラオケに熱狂していた若者たちをソーシャルゲームなどに奪われ、昼間の料金を値下げするカラオケ店が増えたことも一因のようだ。

 金曜日の午後5時30分、北京市内のカラオケチェーン店から高齢者が次々と階段を下り、笑顔でスタッフにあいさつして立ち去っていった。この1時間以内にフロントで会計した4組の客は全て高齢者だった。

 カラオケ店の店長によると、店の近くには古い団地が多く、長くここに住んでいる高齢者がたくさん来店するという。

 胡(Hu)おばあさんはこのカラオケの常連客。数年前に腰を手術し、趣味のダンスができなくなった。替わりにカラオケが仲間たちと交流する場所になった。

 同じようにカラオケを楽しむグループのリーダー、徐(Xu)おばあさんは「予約がいっぱいで、なかなか部屋が取れないこと」が悩み。予約は数日前に取る習慣になっているという。

 中国メディアによると、2021年上半期(1〜6月)、中国全土の大衆向けカラオケ店を利用した2000年以降生まれの若い世代は前年比13.4%減少し、60~70歳が前年比29.6%増加。70〜80歳では前年比100%増加している。

 若者の利用が減ったカラオケ店の生き残り策について、市場リサーチ会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)のCEO兼チーフアナリストである張毅(Zhang Yi)氏は「中高年層の消費嗜好を調査し、立地や室内内装やデザイン、収録曲の傾向などを調整することだ」と指摘する。

「中高年向けのエンターテイメント市場には大きな可能性がある。時代遅れになったハード(カラオケ店)に新しい遊び方というソフトを導入することで新たな発展が期待できる」と張氏。少子高齢化が進む中国で「昼カラ」が見直されている。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News