【12月11日 AFP】深いクレーターの端にひざまずき、ドイツ人宇宙飛行士のアレクサンダー・ゲルスト(Alexander Gerst)氏(46)は、のみを使って採取した火山岩のサンプルを慎重にプラスチックの小袋の中に収めた。

 ここはアフリカ大陸の北西沖、スペイン領カナリア(Canary)諸島のランサローテ(Lanzarote)島にあるロス・ボルカネス自然公園(Los Volcanes Natural Park)だ。

 黒ずんだ溶岩原やクレーター、溶岩洞を有するランサローテ島の地質は、月や火星と驚くほど似ている。そのため欧州宇宙機関(ESA)や米航空宇宙局(NASA)は長年、この島で宇宙飛行士の訓練を行ってきた。

「この島の溶岩は月と非常によく似ています」と国際宇宙ステーション(ISS)で二つのミッションを経験したゲルスト氏は言う。

 独特の地形は、1730年から6年続いた火山噴火に由来している。吐き出された火山灰と溶岩で、島の広大な部分が覆われた。

 ここで行われるESAの訓練プログラムは、古代の超大陸にちなんで「パンゲア(Pangaea)」と名付けられた。宇宙飛行士の他、宇宙工学エンジニアや地質学者も参加する。岩石サンプルの特定・採集方法や微生物のDNAの現場解析を学び、調査結果を宇宙管制センターへ送信する。

 パンゲアのプロジェクトリーダー、ロレダナ・ベッソーネ(Loredana Bessone)氏は「ランサローテ島には異なる種類の火山岩が多く、それが露出しています。樹木はありません」と語った。

「はるか遠くまで見渡せます。まるで月面にいるみたいに」

 映像は11月11日撮影。(c)AFP/Daniel SILVA