■大虐殺

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、マリ兵が3月にムラで、外国人戦闘員の支援を受け、民間人約300人を虐殺したと非難している。目撃者は、外国人戦闘員はロシア人だったと証言した。これに対しマリ軍は、民間人殺害を否定するとともに、イスラム過激派200人以上を「無力化」したと主張している。

 JNIMの現地指導者であるフラニ人説教師アマドゥ・クーファ(Amadou Koufa)師は6月、異例の公開動画で、ムラでの死者のうちJNIM戦闘員は「約30人」のみで、それ以外は「無辜(むこ)の人々」だったとし、ワグネルとマリ軍が大虐殺に及んだと指弾した。

 米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)次官は先月末、過去半年間で「テロ事案は約30%増加」していると指摘。マリにおけるワグネルの存在について「非常に悪い選択」であることが鮮明になったとの認識を示した。

 一方、アフリカ治安部門ネットワーク(African Security Sector Network)のニアガレ・バガヨコ(Niagale Bagayoko)代表は、「もし政府がワグネルの協力を仰いだのが情報戦においてなら、満足できる結果だろう。首都とソーシャルメディア上では、欧米との情報戦に勝利している」と語り、マリ社会の認識は大きく異なっているとの見方を示した。(c)AFP/Selim SAHEB ETTABA