【11月9日 AFP】北京冬季五輪でフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア)のドーピング問題が発覚した件で、世界反ドーピング機関(WADA)のウィトルド・バンカ(Witold Banka)会長は8日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したことを明かした。

 WADAは10月、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)に調査の迅速化を求めたが、RUSADAは「要保護者」である10代のワリエワの「利益を守る」判断として、聴聞会の日付や処分については公表しないと話していた。

 会長は自身のツイッター(Twitter)で「カミラ・ワリエワの件を迅速に解決するよう、正式に通達したにもかかわらず、進展がみられなかった。よって、スポーツ仲裁裁判所に直接諮ったことをお伝えする」と話した。

 ワリエワは15歳で出場した2月の北京五輪で女子選手として五輪初の4回転ジャンプに成功し、ロシア五輪委員会(ROC)の団体戦金メダル獲得に貢献した。しかし、昨年12月の検査でトリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示していたことが後日発覚。トリメタジジンは狭心症の治療薬だが、持久力を高める効果があることから禁止薬物に指定されている。

 CASはワリエワの年齢を理由に、北京五輪の出場継続を認める裁定を下した一方で、ドーピングの嫌疑を晴らすことはしなかった。

 裁定をめぐって米国などから批判が上がる中、ワリエワは個人戦に出場するも、転倒を繰り返して4位に終わった。また、国際オリンピック委員会(IOC)は、同選手の問題が解決されるまで団体戦のメダル授与は行わないことを決めた。(c)AFP