【11月3日 AFP】中国北西部の都市蘭州(Lanzhou)で、一酸化炭素(CO)中毒を起こした3歳の男児が、新型コロナウイルスのロックダウン(都市封鎖)のため搬送が遅れ死亡したことを受けて、地元当局が謝罪した。中国でこのような問題をめぐり、当局が責任を認めるのはまれ。

 蘭州では、1か月近く都市封鎖が続いている。現地警察は1日の発表で、男児の死亡を認めたが、医療機関への搬送に遅れがあったことには言及していなかった。

 男児の父親は2日、ソーシャルメディアに、検問所の担当者から自宅の敷地を離れる許可が下りず、救急車の到着も遅かったと投稿。1時間以上たった後、父親は自宅の敷地を出ることに成功し、タクシーで病院に向かった。しかし到着後間もなく、男児の死亡が確認された。

 地元保健当局は3日、ソーシャルメディアで今回の出来事の詳細な経緯を公表した上で、家族に対し「心からの哀悼の意」を表するとともに、「メディアとインターネットユーザーの批判と指摘を真摯(しんし)に受け止め、(過ちを)正していくことを誓う」と表明した。

 蘭州当局は、父親が何度も緊急通報したにもかかわらず、救急車を派遣するまで90分以上かかったことや、住居の敷地の出口で職員と長時間押し問答になったことを認めた。「今回の事態により、緊急救助体制に問題があり、緊急対応能力が不足し、職員の対応に柔軟さが欠如していることが判明した」との声明を出した。

 男児の死を受けて、中国の「ゼロコロナ」政策にオンライン上で批判が殺到。「微博(ウェイボー、Weibo)」では、「新型コロナの3年間の大流行が、この子の人生の全てだった」とのコメントが拡散した。ただし関連ハッシュタグの一つは、数百万回閲覧された後に検閲を受け、削除された。(c)AFP