【11月5日 AFP】メキシコ伝統の「死者の日(Day of the Dead)」の期間、多くの観光客が訪れていた質素な家がある。アニメ映画『リメンバー・ミー(Coco)』の主人公のひいおばあちゃん、「ママ・ココ(Mama Coco)」はここに住んでいたのだと、みんな確信して帰っていく。

 スペインから来た観光客パウラ・コルメネロさん(52)は「ココにそっくりです。アニメの絵と彼女の鼻、顔の形、髪形に車いす。とても偶然には思えません」と興奮気味に話す。

 2017年にアカデミー賞(Academy Awards)の長編アニメ賞を受賞した映画に登場する優しいおばあちゃん、ママ・ココは、米ディズニー(Disney)傘下のピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)がつくり出した架空のキャラクターだ。

 だが、目を細めた穏やかな笑顔や三つ編みにした白髪は、10月16日に109歳で死去したマリア・サルード・ラミレス(Maria Salud Ramirez)さんそのものだ。

 ラミレスさんは、地元では「ママ・サルード(Mama Salud)」と呼ばれていた。ミチョアカン(Michoacan)州の湖沼の町サンタフェデララグナ(Santa Fe de la Laguna)に住む先住民プレペチャ(Purepecha)の一人だ。

 映画が公開される1年以上前にラミレスさんの孫パトリシア・ペレスさんは住民から、祖母の写真を撮っている人たちがいると知らされた。

 観光客だけでなく、ペレスさんも「(映画は)私のおばあちゃんをモデルにしたに違いない」と確信している。

 だがピクサー・スタジオは、実在の人物をモデルにしたのではなく、あくまで想像の産物だと主張している。