【10月15日 AFP】国連(UN)ハイチ事務所と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は14日、カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチのギャングが住民に恐怖を植え付け、縄張りを確立する手段として性暴力を利用しているとの報告書を合同で公表した。

 ハイチでは6団体以上のギャングが縄張り争いを繰り広げている。報告書によれば、ハイチ各地では過去1年間で「ギャングによる暴力が制御不能」になっている。特に抗争が激しいのは首都ポルトープランスで、同市の60%がギャングの縄張りになり、150万人以上が支配下に置かれている恐れがある。市内の移動は危険を伴い、病院はほとんど機能していない。

 ナダ・ナシフ(Nada Al-Nashif)国連人権副高等弁務官は「ギャングは恐怖心を植え付けるために性暴力を利用し、憂慮すべきことにその件数は日に日に増加している」と述べている。

 報告書によれば、集団レイプはしばしば家族の目の前で行われ、老若男女を問わず標的とされている。拉致されて「数日間または数週間にわたって」暴行を受けた被害者もいるという。

 報告書は、ギャングは対立する団体の縄張りに居住、またはその地域を通行した住民を処罰するためにレイプを利用し、暴行の場面を撮影した動画を家族に送りつけて身代金の支払いを迫ることもあると指摘している。

 治安が悪化しているため、犯人が処罰されることはほとんどないとされる。

 ギャングによる暴力は国連平和維持活動(PKO)部隊が駐留していた2004~2017年には減少していたが、撤退後に増加した。(c)AFP