【10月16日 AFP】ベトナム戦争中に南ベトナム解放民族戦線、通称ベトコン(Viet Cong)が愛用したことで知られる丈夫なゴム製サンダルが、数十年を経た今もなお手作業で製造されている。材料は軍のトラックや飛行機の廃タイヤだ。

 ベトナム革命の指導者ホー・チ・ミン(Ho Chi Minh)を記念する首都ハノイの博物館前にも、ゴム製サンダルを売る店がある。ホー・チ・ミン自身もサンダル愛好家だった。

 1足8ドル(約1180円)のサンダルを買った客は「このサンダルには歴史的価値があります。履きやすいし、見た目もいいです」と言った。

 博物館には「ホーおじさん」と親しみを込めて呼ばれる北ベトナム初代国家主席が履き古したサンダルが、ガラスケースに入れられ、人民服風の軍服とともに展示されている。ホー・チ・ミンのサンダルは、その質素な生活スタイルをたたえる国民唱歌にも歌われているのだ。

 ベトナムでゴム製サンダルが最初に作られたのは1940年代後半、フランスからの独立を目指した第1次インドシナ戦争の時だった。そして、その後のベトナム戦争で、強国・米国を相手に創意工夫を凝らして戦うベトコンを象徴するようになった。

 2011年に義理の父親から業界トップのゴム製サンダル事業を引き継いだグエン・ティエン・クオンさんは、これまでに50万足以上を販売してきた。

「柔軟性とファッション性をさらに追求しています。スタイルと型を変えたことにより、購入する客が増え始めています」と語った。(c)AFP/Tran Thi Minh Ha