【8月15日 AFP】スコットランドの東沖に位置するメイ(May)島は、英国における海鳥の最大の生息地だ。この島にはあらゆる種類の海鳥が生息しているが、自然保護活動家らは中でも最も代表的な鳥、パフィン(ニシツノメドリ)の個体数減少を懸念している。

 メイ島の自然保護区責任者のデービッド・スティール氏は「1980年代と90年代、(パフィンの)個体数は急増したが、その後突如激減した」「2000年代半ばには全個体数の30%近くがいなくなった。それ以降は徐々に増えてはいるが、以前の数とは比べものにならない」と話す。

 平均的なパフィンは体高約30センチ、体重約450グラム。カモメやアザラシが天敵だ。毎年4月から5月にかけて卵を1個産む。繁殖力が弱いため、個体数が急減した場合、回復するまでには数十年かかる。

 メイ島や、イングランド北東部に位置するファーン諸島(Farne Islands)では今年、パフィンの全数調査が行われている。どちらの生息地でも、地球温暖化や強風、雨、海岸の浸食や海洋汚染の他、パフィンの好物であるイカナゴの乱獲が、パフィンの個体数減少の原因として挙げられている。

 また、専門家らはパフィンの数を数えるのは難しいとも話す。時にはイカナゴをくわえて巣に戻る姿を簡単に見つけることもできるが、たいていは地中に潜っているという。ある専門家は「巣穴に腕を突っ込んで確認するしかないことも多い」と話した。

 今年の全数調査により、気候変動やイカナゴの生息数の変化がパフィンの生息数にどんな影響を与えているのかが明らかになると専門家は見ている。

  映像は4、5月撮影。パフィンや個体数調査の映像はTHE NATIONAL TRUSTより提供。(c)AFP/Stuart GRAHAM