【8月5日 AFP】レバノンの首都ベイルートの港湾地区で2020年に起きた爆発事故で、発生から2年を迎えた4日、爆発で大きく損傷したまま放置されていた穀物用サイロ数塔が倒壊した。サイロは先月31日にも一部が倒壊していた。

 AFP特派員は、損傷した構造物の一部が倒れる瞬間を目撃。地元メディアは、少なくとも4塔が倒壊したと伝えた。

 サイロは最近、傾斜がこれまでにない速さで進んでいたことから、間もなく倒壊する危険性が指摘されていた。

 4日には、数百人の市民がサイロに向けデモ行進を行った。参加したラマ・ハーシェムさん(30)は、「2年たっても、同じ場所から同じ光景を見ている」と涙をこらえ、今回の倒壊で事故当時のトラウマがよみがえったとAFPに語った。

 2年前の爆発事故では、港湾地区の倉庫に保管されていた大量の硝酸アンモニウム肥料が爆発し炎上。200人以上が死亡し、市内の広範囲で被害が出た。だが、これまで当局者は責任を問われていない。政府は今年4月、サイロの取り壊しを命じたが、遺族が事故の記念碑として保存を求めたこともあり、取り壊し計画は停止された。

 事故で息子を亡くし、この日の抗議活動に参加したワファ・ザヘルさん(60)は「サイロはわれわれの記憶だ」とし、「われわれの心を静めるために、真実を求めている」と話した。(c)AFP