【8月2日 AFP】ブラジルで、頭蓋部分がつながった結合双生児の頭蓋骨や脳を分離する手術が成功した。バーチャルリアリティー(VR)を駆使して手術に備えた医師団は1日、こうした分離手術としては最も複雑なものだったと話した。

 アルトゥール・リマ君とベルナルド・リマ君は2018年、北部ロライマ(Roraima)州で、非常にまれな結合双生児として誕生した。

 2人は4年近くを結合した状態で過ごしたが、23時間かかったものを含め計9回の手術で頭頂部が分離され、ようやく互いの顔を見られるようになった。

 手術に協力した英ロンドンの医療慈善団体「ジェミニ・アントゥワインド(Gemini Untwined)」は、2人が静脈を共有していることから「これまでで最も複雑な分離手術」だったと説明。

 手術を行ったリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のパウロ・ニーマイヤー州立脳研究所(IECPN)の神経外科医、ガブリエウ・モファレジ(Gabriel Mufarrej)氏は、「自分のキャリアの中で最も複雑で難しい手術だった」とし、「歴史的な快挙」だと述べた。

 100人近いスタッフらで構成された医師団は、特に細心の注意を要する6月7日と9日の手術に向け、VRを活用して準備を進めた。2人の脳をスキャンし、結合している頭蓋部分のデジタル地図を作製。英国とブラジルの両国で手術の手順を練習した。

 ジェミニ・アントゥワインドの外科医、ヌール・ウル・オワセ・ジーラニ(Noor Ul Owase Jeelani)氏は英PA通信(Press Association)に対し、「2人を危険にさらす前に、体の構造を確認しながら手術ができるのは本当に素晴らしい」と話し、VRで練習できたのは「近未来的」だと述べている。

 モファレジ氏は、2人は快方に向かっているが、成長するにつれて追加で処置を受ける必要があるかもしれないと説明した。2人とも発話は難しく、ベルナルド君には右手の運動障害があるが、「2人の可能性を信じている」と述べた。(c)AFP