【7月19日 AFP】裁判所が差し止めの判断を下していた、メキシコ大統領肝煎りの観光鉄道事業「マヤ鉄道(Mayan Train)」の建設が再開された。政府関係者が18日、明らかにした。

 ユカタン(Yucatan)半島で進められているマヤ鉄道をめぐっては、裁判所は5月下旬、環境への影響を理由に一部区間の工事を無期限で差し止める判断を下した。政府はこれを受け、控訴していた。

 スキューバダイバーら反対派は、鉄道建設により野生動物や洞窟、陥没穴に水がたまった天然の泉「セノーテ」などへの影響を懸念している。

 だが、昨年11月に出された、政府の主要インフラ工事を「国家安全保障」と見なす命令に基づき、工事は今月13日に再開された。

 観光列車事業を監督する国の観光促進基金のトップ、ハビエル・マイ(Javier May)氏は18日、マヤ鉄道について「国家安全保障に関わる事業」との見解を示した。

 公安当局と内務省は、60キロにわたるプラヤデルカルメン(Playa del Carmen)とトゥルム(Tulum)間の鉄道工事を何としても再開させるつもりだとしている。

 マヤ鉄道は、カリブ海(Caribbean Sea)沿いの複数の人気リゾートと遺跡を結ぶ全長約1500キロの環状鉄道。アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領は2023年末までの開業を目指している。

 観光保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」と「セーブ・ミー・フロム・ザ・トレイン( Save Me from the Train )はそれぞれ18日、政府が控訴手続きの完了を待たずに工事を再開したと警告していた。(c)AFP