【7月16日 CGTN Japanese】中国科学院物理研究所の科学研究チームはこれまで、国家ナノ科学センター、国家天文台、広州地球化学研究所などと協力して、「嫦娥5号(Chang'e-5)」が採取した月面土壌サンプルの主要鉱物である鉄カンラン石、輝石、長石の表面微細構造の特徴についての総合的な研究を展開してきました。

 科学研究チームは、サイズが小さく、外形に規則性がある鉱物サンプル25点を調べた結果、鉄カンラン石の表面のみに、大きさ2~12ナノメートルの結晶粒を包む極めて薄い厚さ約10ナノメートルの二酸化ケイ素のアモルファス層(非結晶層)が存在することを確認しました。輝石と長石の表面の化学成分は鉱物内部と同じで、はっきりとしたアモルファス層はありませんでした。月面土壌について、この特殊な微細構造が観察されたのは初めてです。

 元素分析とトポグラフィー分析(微細な表面状態の分析)によれば、輝石と長石の表面にはアモルファス層や揮発しやすい硫黄や塩素などの外来元素は含まれておらず、サンプル内部に太陽フレアが通過した痕跡も認められませんでした。これらにより、研究対象のサンプルは太陽風風化作用の中期あるいは初期段階の状態にある可能性があるとされています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News