【7月4日 AFP】中国南西部の雲南(Yunnan)省で見つかった600万年前のジャイアントパンダの祖先の化石から、パンダが竹をつかんだり折ったりするのに必要な「第6の指」をどのように発達させ、クマ科唯一の植物を主食とする動物に進化したのかという謎の一端が明らかになった。

 発掘されたのは600万~800万年前に生息していたアイルラルクトスの化石で、前足首にある橈側種子骨(とうそくしゅしこつ)が大きく肥大していた。科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された研究論文によると、これはパンダの「第6の指」が確認できた最古の証拠だ。

 米ロサンゼルス郡立自然史博物館(Natural History Museum of Los Angeles County)の学芸員で、古脊椎動物学が専門のワン・シャオミン(Wang Xiaoming)氏は、ジャイアントパンダについて「短い消化管を持つ大型肉食動物」がほぼ完全な草食動物となった「珍しい事例」だと説明。「アイルラルクトスの『第6の指』は、パンダが竹を食べるようになった時期とその進化の段階を初めて示すものだ」と述べた。

 パンダの橈側種子骨が人間の親指と同じように機能することはかねて知られていたが、化石に基づく証拠がなく、他のクマ類には見られない「第6の指」がいつ、どのようにして進化したのかはこれまで分かっていなかった。

 雲南省北部の昭通(Zhaotong)市付近で発見された化石で確認された「第6の指」は、現代のパンダのものより長く、先端が内向きに曲がっていなかった。論文は、パンダの「第6の指」の先端がかぎ状に曲がり、付け根の肉球が分厚くなっているのは「かなりの体重の負荷に耐える」ため、長い時間をかけて進化したとの見方を示している。(c)AFP